はじめに
お家などの建築物にはどこかしらに鉄鋼や非鉄材料が使われています。ですので、いかに錆から保護するかが建物を長持ちさせる為に重要になります。ここでは、錆の原因と対策をお伝え出来ればと思います。
1.なぜ錆が発生するのか?
〇酸性雨
・大気が汚染されるとSOxやNOxが大気中に増え、雨が降るとこれらの化学物質は雨に溶け込んで雨のpHを下げます(5以下になる)。pHが下がると酸性になり、中性の雨よりも鉄の腐食は増大します。
〇塩害(潮風)
・海兵地域では鉄の表面にNaClやMgCl₂を含む海塩粒子が付着するため、錆びやすくなる。海塩の表面は潮解性があり、鉄表面が水で覆われる時間が長くなり、また、腐食溶液となる薄膜水の電気伝導度を高めるため、腐食性が増大します。
こちらの写真は多伎町(海兵地域)の住宅ですが、庇の下は雨で塩分が流れないため、かなり腐食していました。
〇異種金属どうしが触れている
・異種金属同士が不動態化していれば、電位差があっても異種金属接触腐食は生じません(例えば、304ステンレス鋼とチタン)。電位差腐食が生じるのは、異種金属の組み合わせが『不動態と活性態』または、『活性態と活性態』の場合です。
〇バクテリアによる鉄の腐食
・バクテリアによって腐食性物質が作られ、腐食反応が促進される。
などがあげられます。
2.錆から保護する為の対策
これらの原因から早めの段階で、屋根や外壁などを保護する必要性があります。
〇不動態皮膜を生成する金属を使用する
・304ステンレス鋼、316ステンレス鋼、チタン、クロム、アルミニウムなどを使用する。コストがかかる。メンテナンスが容易。適材適所の配慮が必要。
〇耐候性鋼を使用する
・水はけがいい環境ではないと、錆の結晶が大きくなり(鱗状の錆)緻密で基板との密着性にすぐれた錆が発生しません。見た目が錆び錆びなので、勘違いされることがあります。海兵地域では向きません。
〇鉄を環境から遮断する
・塗装をする。建物の景観性と防食性、コストの面から施工されます。長期的にはメンテナンスが必要になります。錆を除去し、できるだけ膜厚に耐候性の良いものを選ぶのが重要です。
・鉄の表面に亜鉛、すず、ニッケル、銅めっきをする。亜鉛めっきがよく使われています。
3.まとめ
お家の塗替えのタイミングで、防食を考えるのであれば、塗装をする事がコストの面からも主流になると思います。できるだけ早く、錆はしっかりと除去し、なるべく耐候性の高い塗料を正しい工程で、メーカー指定の塗膜を確保して塗装をしてくれる塗装屋さんを選びましょう。塗膜は美しいうえに、水や空気中の酸素を遮断してくれてそうですが、わずかですが、塗膜に侵入し鋼材表面に達します。短期的には美観、防食性に問題ないにしても、長期的には点錆びや塗膜の膨れが生じますのでメンテナンスが大事です。
吉田塗装では外壁劣化診断士の私がお見積りに伺います。
お家の痛みが気になってきたら、ご相談下さいませ。